着物マナーの基本!立ち居振る舞いからアクセサリーのルールまで
着物のマナーの一つは、TPO(Time(時間)、Place(場所)、Occasion(場面))に合った装いですが、同時に立ち居振る舞いなども求められます。実際に洋装と和装では、美しく見える所作が大きく異なります。
一見難しそうですが、各動作のポイントを少し意識するだけで印象は大きく変わりますので、ぜひ試してみてください。本記事では、基本的な動作のほかに結婚式の小物の選び方や、着物とアクセサリーの合わせ方などをご紹介します。
■知っておきたい着物を着用したときの基本動作
まずは、着物を着用した場合の基本動作から見てみましょう。立ち方や歩き方、座り方などの基本を押さえておくと、いろいろな場面で役に立ちます。
・立ち方
立つときは背筋をピンと伸ばし、顎を引き気味にします。もし、上手くできない場合は、頭のてっぺんから糸でまっすぐに吊り上げられているイメージを描くのもおすすめです。
また、腹筋に力を入れると、背筋が伸びやすくなります。そして、草履はつま先が、ハの字型になるように付けておきましょう。少しだけ内股を意識すると、美しい立ち姿になります。
・歩き方
歩くときも、背筋はピンと伸ばすことを意識しましょう。膝頭をすり合わせるようなイメージで、内股を意識して歩きます。歩幅は小さく、つま先を内側に入れるようにしましょう。
この歩き方は、着崩れを防ぐことにもつながりますので、裾がはだけたりしないよう、ゆっくりと歩くようにしましょう。また、草履を引きずるはマナー違反となりますのでご注意ください。
・座り方
椅子に座る場合は、背筋を伸ばし、背もたれとこぶし1つ分くらい開けて浅く腰掛けますが、くれぐれも帯が潰れないように背もたれは使わないようにしましょう。さらに後ろの裾が地面につかないように、膝の後ろに入れ込んでおくと安心です。もし、振袖など袖の長い着物の場合は、膝の上に重ねて置いてもマナー違反ではありませんし、姿勢も楽になるでしょう。
また、畳に座る場合は、右足を少し引き、右手で上前をわずかに引き上げます。左手でもものあたりを押さえて腰を下ろしましょう。その後は、右手で上前をなで下ろしつつ、膝をつきます。最後は膝裏の着物を少し引っ張り、見た目を整えます。
畳に座っている状態から立ち上がるときには、最初にかかとを揃えて立てます。その上にお尻をのせ、片膝を立て、上前を押さえながら、右足から立ち上がるようにしましょう。
・階段の上り下り
階段の上り下りをする際は、右手で軽く上前を持ち上げ、体は階段に対して斜めにするとスマートです。袖の長い着物の場合は、あらかじめ両袖を左の肩にかけておくと、袖を汚す心配がありません。
特に注意点としては、裾を踏まないようすることです。もちろん、美しい階段の上り下りができればベストですが、裾を踏むと転倒する危険もありますので、くれぐれも安全第一を意識してくださいね。
・車の乗り降り
車に乗るときは、まず荷物を先に入れます。そして、右手で立褄(たてづま)を軽く持ち上げ、お尻から入ります。この際には片手で袖を持ち、もう片方の手で上前を押さえます。最後に足を揃えて身体を回転させ、足を入れます。また、降りる場合は、これらを逆の順番で行います。
・食事中
食事中は、着物を汚さないようにハンカチを膝にかけておきます。大判ハンカチの場合は、二つ折りにして折り目の部分を手前にしましょう。もし、汁物などが飛ぶ心配がある場合は、大きめのハンカチやナプキンの先を衿元にかけても問題ありません。
また、グラスなどを取る際には、片方の袖口を押さえましょう。袂を汚す心配も、腕をむき出しにすることもなくなりスマートに見えます。
■【結婚式の着物】小物のマナーを知ろう
結婚式の着物マナーのなかでも、あまり知られていないのが小物のマナーです。小物は着物には欠かせませんので、ぜひ押さえておきましょう。
・留袖を着るときの飾りの選び方
特に悩む人も多いのが、簪(かんざし)の選び方です。簪は必須アイテムではありませんが、アップにした髪にはよく似合いますし、黒留袖や色留袖に相応しい組み合わせをしたいという人も多いでしょう。
黒留袖や色留袖と合わせるのであれば、べっ甲(柄)を使ったものや、パール・珊瑚を使ったものなど、高級感のある簪がよいでしょう。ただし、あくまでも結婚式は新郎新婦が主役となりますので、列席や参列の場合は、立場を問わず人目を惹くような派手な簪は避けた方が無難です。
もし、不安な場合はVASARAまでお気軽にご相談ください。プロのスタイリストによるヘアセットや、髪飾りアレンジをご用意しています。
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・結婚式の着物と合わせるバッグのマナー
和装用フォーマルバッグのみでは、貴重品と小物ほどしか入りませんので、サブバッグが必要となるケースも多いでしょう。サブバッグは最初にクロークに預けてしまうかもしれませんが、選び方には注意しておきたいものです。特に気をつけたいのが、色、サイズです。
サブバッグのサイズはA4~B5がおすすめです。また、色はフォーマルかつ高級感のあるゴールド系、シルバー系を選ぶと、どのような着物にも合わせやすくなります。
・結婚式の草履のマナー
結婚式に履いて行く草履は、台の高さが5cm程度あるものを選びましょう。礼装の場合、特に長めに着物を着付けますので、草履にある程度の高さがなければ裾を引きずってしまいます。
また、フォーマルな場で相応しい草履は、台と鼻緒(はなお)が同じ素材・同じ色で作られていますので、他の草履との違いを押さえておきましょう。金や銀を基調とした草履は、格式も高く結婚式に向いています。
■着物を着たらアクセサリーは付けちゃダメ?
着物を着るときには、アクセサリーをつけてはいけないと聞いたことがある人も少なくないでしょう。普段着として着物を着ていた時代にピアスやイヤリングなどの洋風アクセサリーをつけることはありませんでしたので、その名残りから好ましくないという考えもあります。
しかし、現在においてはその場に応じたある程度のアクセサリーであればつけても問題ありません。最後に結婚式で着物を着る場合と、観光やお出かけなどのカジュアルな場合に分けて、どのようなアクセサリーならばつけられるのかをご紹介します。
・礼装の着物でのアクセサリーのルール
礼装の着物の場合は、ピアスやイヤリングはつけない方が好ましいです。つけたい場合も、耳にしっかりと固定される小さなタイプを選ぶことをおすすめします。
また、礼装に限らず、着物ではネックレスをつけないのが一般的です。もし、着物の首元を演出したい場合は、半衿(はんえり)や伊達衿(だてえり)を選びましょう。
指輪は、結婚指輪などの日常的につけているものは、問題ありませんが、大きな石がついていたり、凹凸が大きかったりする場合は外すのが無難です。着物に引っかけるなどして生地に傷が付いてしまう恐れもあるからです。
・お出かけ・観光でのアクセサリーのルール
カジュアルなお出かけであれば、ピアスやイヤリングなどのアクセサリーの着用は自由となります。ただし、上述の通りネックレスは着物と合わせないのが一般的となりますので避けるようにしましょう。
せっかく着物を着るのですから、お好みで和風アレンジのアイテムなどもおすすめです。帯留めからチャームを下げたり、着物の柄や紋様と合わせたりするアクセサリーを選んでみてもよいでしょう。
なお着物とアクセサリーについては、こちらの記事も合わせてご確認ください。
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■まとめ
着物は、基本の立ち居振る舞いと、小物・アクセサリーの選び方を押さえておくと、より身近に楽しむことができます。これらは少し難しそうですが、一つずつ理解し実践を積むことで、美しい着物姿が身に付くでしょう。
もし、着物や小物の選び方などで不安がある場合は、ぜひVASARAの着物コンシェルジュまでご相談ください。「結婚式の着物はどれを選べばいいの?」「マナー違反にならない小物も借りられる?」など、お気軽に無料でご相談いただけます。皆様からのご相談をスタッフ一同お待ちしております。