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着物に羽織を着る季節は?着こなしのマナーもご紹介

着物用のコートの一つに「羽織」がありますが、防寒だけではなくおしゃれも楽しめるアイテムです。羽織のほかにも道行(みちゆき)コートや道中着(どうちゅうぎ)などもありますが、どのような違いがあるのでしょうか。

そこで今回は、羽織と道行コート、道中着の違いから、羽織の種類や特徴、役割などをご紹介します。着こなしのマナーなどもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

■着物コートの種類と違い

前述の通り、着物に合わせるコートは3つに大別されます。まずは、それぞれの特徴や違いなどを見ていきましょう。

・道行コート、道中着とは

前を閉めて着用するのが道行コートと道中着です。道行コートは前ボタンやスナップで留めて着用するスタンダードな形といえます。さまざまな柄や素材があり、フォーマルなシーンで着用されることが多いでしょう。

また、道中着は着物のように身頃を重ねて着用し、脇は紐で留めます。道行コートよりもカジュアルで軽快な印象があり、普段使いに重宝します。稀にフォーマル向き道中着もあり、柄や素材、色使いもさまざまです。

・羽織とは

羽織は前が開いていて、中央を羽織紐で留めて着用します。着物用のコートのなかでは最もカジュアルです。気軽に着用できますので、肌寒い日の街歩きの着物姿ではよく見られます。基本的には防寒着となりますが、夏用の薄手の羽織もありますので1年を通しておしゃれを楽しむことができます。

■羽織を着用する季節と理由とは

羽織を洋服で例えるとカーディガンのようなものです。体温調節をしてくれる優れものですが、ほかにはどのようなメリットがあるのでしょうか。よく着用される季節などと一緒に見ていきましょう。

・羽織を着用する理由

防寒着としての役割はもちろんですが、着物や帯を傷みから保護する役割もあるのです。例えば、電車や車、バスに乗車するときには帯が擦れてしまうリスクがありますが、羽織でしっかりと守ってあげると安心です。このようなシチュエーション以外でも、着物はデリケートな素材で袖や裾が長く、常にどこかに触れてしまうリスクがありますが、羽織があれば安心できます。

また、羽織は重ね着のおしゃれを楽しむアイテムでもあり、コーディネートのまとまりにも一役買います。例えば、無地系の着物に柄付きの羽織を合わせたり、着物の柄の一色を取り入れた羽織で統一感を出したり、羽織ならではの組み合わせで着こなしを楽しむことができます。

・羽織を着用する季節

羽織を防寒着として着用する場合は、10月ごろから5月ごろの袷着物(あわせきもの)の時期が目安ですが、単衣(ひとえ)の6月、9月や薄物(うすもの)の7月、8月でも素材を変えることで着用できます。

なお、結婚式などのフォーマルな場での羽織は相応しくありませんので、道行コートやフォーマルな道中着を着用しましょう。ただし、黒の紋付羽織は準礼装になりますので、以前は着物の格を上げるため入学式や卒業式などでの着用がよく見られました。近年の入学式や卒業式では道行コートなどが主流となっています。

■羽織の種類

羽織には長さや仕立て方によりにより、さまざまな種類があります。代表的な羽織の種類や特徴などを見てみましょう。

・長羽織(ながばおり)

着丈の長い羽織となり、ひざより長めの丈が一般的です。落ち着きのあるエレガントな雰囲気になり、品のある装いが特徴です。近年は、長羽織が好む人が増えている傾向があります。

・中羽織(ちゅうばおり)

長羽織よりも丈が短く、ひざの上ほどの長さです。一般的に多く着用されているのはこの中羽織です。前身頃と後身頃の間に、裾広がりのマチが付いていることが長羽織の大きな特徴で、カジュアルな着こなしにはぴったりです。

・茶羽織(ちゃばおり)

着丈が最も短い羽織で、腰付近の長さとなり、中羽織のようなマチはありません。また、袖丈はやや短めで、作業がしやすい形状になっています。実用的な防寒着の向きがありますので、おしゃれ着としても羽織を選ぶなら避けた方が無難かもしれません。

・袷羽織(あわせばおり)

裏地が付いた羽織で、厚みがあり防寒用として10月ごろから5月ごろに着用されることが多いでしょう。防寒用ですが、室内でもよく着用されています。

・単衣羽織(ひとえばおり)

裏地がなく一枚仕立ての羽織です。薄手であるため春、秋ごろのちょっとした体温調節に活躍します。基本的に単衣羽織は単衣着物と合わせます。

・綿入羽織(わたいればおり)

綿入りで暖かく、真冬の防寒着として着用される羽織です。ほかの羽織のなかでもよりカジュアルな装いとなります。

・夏羽織(なつばおり)

7月~8月ごろの盛夏の季節に着用する羽織です。透け感のある素材でなかの着物がうっすら見えることで涼やかさを与えてくれます。また、エアコンが効きすぎている室内での羽織としても活躍します。ほとんどの羽織はフォーマルな席での着用は避けるべきですが、絽(ろ)や紗(しゃ)の素材を使った夏羽織は着用できる場合もあります。

・紋付羽織(もんつきばおり)

袷羽織に紋を付けた羽織です。前述の通り、入学式や卒業式などのフォーマルな席でも準礼装として着用される場合もあります。また、男性の着物姿では紋付羽織を見かけることが多く、着用している着物の格を上げてくれるアイテムでもあります。

■羽織を着用するときのマナー

最後に羽織を着用する場合のマナーについて見てみましょう。ぜひ次のマナーに気を付けて羽織のおしゃれをお楽しみください。

・着物と袖を合わせる

着物の袖と羽織の袖をしっかりと重ねるように合わせます。袖の形を合わせない場合、モコモコした印象を与えてしまいますのでご注意ください。

・前紐を結ぶ

羽織の前紐は、しっかりと結びます。たとえカジュアルな場であっても紐を結ばなければ、ルーズな印象を与えてしまいますのでご注意ください。

・室内では脱ぐことも

自宅用の羽織や、一部の羽織は室内でも着用しますが、防寒着としての目的や着物の汚れ防止の目的などの場合は、洋服のコートと同じ役割になります。そのため、訪問先やフォーマルな場では、脱ぐことが自然です。ぜひ、TPO(Time(時間)、Place(場所)、Occasion(場面))に合わせて対応しましょう。

・着るときも脱ぐときも体に沿わせる

羽織を着るときは、できる限り小さい動きで袖口から肩に体に沿わせるように着用します。バサッと広げて袖を通すのは、着物の所作としては避けるべきで、ほかの人にも迷惑がかかる可能性もあります。また、脱ぐときも同じで、静かに脱ぎ小さく畳んで持ち歩くようにしましょう。

■まとめ

今回は、着物の上に着用する羽織をご紹介しました。道行コートや道中着との違い、羽織の種類や特徴、そして着用する場合の注意点などは、この機会にぜひお知りおきください。

バリエーションが豊富な羽織は、おしゃれの一つとしても楽しめるアイテムです。もちろん、着物や帯を傷や汚れから守る大事な役割も果たしてくれますので、ぜひ着物アイテムの一つとして加えてみてはいかがでしょうか。

なお、VASARAの着物レンタルでは、定番から個性的な羽織までさまざまな羽織を取り揃えています。いろいろな季節で羽織を楽しみたい人は、ぜひ着物レンタルを利用してみてはいかがでしょうか。

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