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着物大事典
こんにちは。着物レンタルVASARAにてコールセンターをしていたスタッフです。コールセンターをしていると良くあったのが、店舗までの行き先が分からないという道案内希望の電話。近くの時案内するのですが、そのときに困ったのが地名の読み方でした。京都って読み方が難しい地名が多いのですが、調べてみると由来や歴史は様々あって面白いんですよ。より京都に親しみをもって貰えるよういくつか調べてみました。今回はつなげて読むとなんだか漫画のようなイメージがある「天使突抜(てんしつきぬけ)」と「悪王子(あくおうじ)」をご紹介します。
難読地名の多い京都、それは1200年以上の長い歴史の変遷の中で生まれてきた、古来の読み方を現代の読みに当てはめていたり、その場所に関係する出来事や人物に由来するため多くの難読地名が生まれたのだといわれています。
下京区の西洞院通(にしのとういんどおり)と袖小路通の間に南北の細い通りがあります。この通りの名が「天使突抜通(てんしつきぬけどおり)」です。 そしてこの通りに沿って天使突抜一丁目から天使突抜四丁目までの町が並びます。西洋の頭に輪っかを乗せた天使様たちが並んでいて、そこを無理やり突き抜けていったのかと想像してしまったのですが、実際はどうなのでしょうか。
地名の由来はこの近くに建つ五条天神宮に関係していました。五条天神宮は桓武天皇が京都に都を遷したとき、都の平安を守るために弘法大師に命じて大和の国から天神を勧請して創建させたといいます。天照大神など三柱の天神を祀っているので「天使の社」といわれていました。西洋の天使様ではなかったのですね。当時は洛中ではもっとも古い神社とされていて、広大な鎮守の森を有していました。この五条天神宮から清水寺まで続く五条大路は、平安時代の京都の庶民に最も信仰されていた清水寺の観音さまと五条天神の天使さまが集まっていたことから、参拝者でもっともにぎわった通りだったといいます。
ところが豊臣秀吉は天下統一を成し遂げて関白になると、京都の町割を自分の思うようにつくり変えるため大改革を強引に始めたのです。多くの寺や神社が無理矢理移転させられ、新しい道をつくって短冊形の町割をたくさんつくりました。五条天神も秀吉の京都改革によって、境内の中に一本の道が貫通することになりました。弘法大師がつくった天神さまの境内に、まるで串が突き抜けるように道をつくって二つに割ったのです。地元の人々はこの秀吉の仕業にあきれ返りました。そこで新しくできた町に、天使さまの宮を突き抜けるように通りを通したので、「天使突抜」という名前をつけたといいます。
この「天使突抜」町界隈から五条通を更に東へ進んだ烏丸五条の交差点のすぐ北側に、「悪王子」という町名があります。さらに、これより北の四条烏丸付近には「元悪王子」という町名まであるのです。悪い王子がいたり、悪い王子が改心していたり、この地域は面白いなと思ったのですが、調べてみるとこちらも王子の意味が違っていました。
「悪」というと善悪の「悪」という意味が一般的ですが、かつては「力強い」という意味でも用いられていたそうなのです。そして「悪王子」とは、素戔嗚尊(すさのおのみこと)の荒魂(神の持つ温和な面と強大な面のうち強大な面のこと)のことを意味しています。その悪王子を祀る「悪王子社」という社があった場所なので、「悪王子町」となったのです。そして、それより以前に「悪王子社」があったとされる場所が、「元悪王子町」というのです。全然違うことを予想していて、恥ずかしい限りです。
いかがでしたか?今回は漫画のような地名、天使突抜と悪王子町をご紹介しました。予想とは違った意味が出てきて、地名の由来って面白いなと改めて思いました。それにしても豊臣秀吉への皮肉を地名にしてしまうなんて予想外でした。清水寺の近くにある通りですので、ぜひ観光の際にお立ち寄りしてはいかがでしょうか。また、着物レンタルVASARAをご利用いただければ気軽に着物観光が体験できます。さらに、予約必須ですが車での観光地へのお送りサービスも行っております。清水寺もルートにございますので、詳しくはこちらをご覧ください。
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